「ねぇ、アンタ。」


苛立たしげなその声に
あたしはぴくりと固まった。


「は、はい…?」


「そのネクタイ、蒼?」


ネクタイの色…?

どう見てもあたしのは蒼色だけど…


「そうですけど……」


あたしがそう言うと先輩は肩を揺らしながら去って行った。

…なんだったんだろう?


不思議に思いながらも入学式の会場にあたしは足を進めた。







「みなさん。ご入学おめでとうございます……」


周りを見渡してみると

登校日よりもちょっとだけ人数が少なくて

契約の話は本当だったのだと気づいてひやり、とした。



…もしかしたら今頃あたしは、桜火に通えてなかったのかもしれないんだ。


相手がアイツだとはいえ、契約できただけ良かったのかもしれない。


…まあ、アイツに感謝するのは嫌だけど。



そんなことを思っているうちに入学式はあっという間に終わり

あたしたち1年生はそれぞれのクラスで顔合わせとなった。