*
入学式当日。
あたしは付け慣れないネクタイを胸元で揺らしながら
校門を通った。
まだ早い時間にも関わらず
校門の中はたくさんの桜火生でごった返していた。
きっと背の高いあの人は3年生で
ネクタイを少し緩めたあの人は2年生…
そんな風にして歩いていると
ふとあることに気づいた。
赤、桃、橙、緑……
たくさんの色のネクタイを付けた人がいるのに
この蒼色ネクタイは
ひとりも…いない。
よく見ると、赤に朱色のラインがはいったネクタイをつけている人が一番多い。
…これは、なんなんだろう?
すると、おしゃれに制服を着崩したひとりの先輩から
あたしはものすごい視線を感じた。
睨みつけるような
何かを確かめるような
そんな目つき……
あたし、なんかした!?