「綺羅、急げよ!見失うぞ!」
そう言って走って行く彼をあたしは必死に追いかける。
「ちょっと待ってよ柚ー!!」
ふたりで走りきったさきには
広い草原で駆ける
笑顔いっぱいの
ひとりの男の子の姿。
「まったく、あいつのバカ元気は誰に似たんだか。」
そういって柚はちらりとこちらを見てくる。
「それを言うんなら、あの子のイタズラ好き
は誰に似たんでしょうねー?」
そういってあたしは柚にべーっと舌を出した。
「おかーさん?おとーさん?なにしてるのー?」
じーっと不思議そうにこちらを見てくるその子を
あたしはぎゅーっと抱きしめた。

