はぁ…


解散を言われた後、

みんなが校門に向かうなか

ひとりあたしは校舎裏にまわった。



大きな桜の木の幹に寄りかかると

そのままずるずるとコンクリートに座り込む。



空を見上げると葉桜が風にさわさわと揺られていた。




のどかな木漏れ日


安らかな風



皮肉なほどにあたしの心境とは正反対だ。



体育座りをした足に

抱え込むようにして頭をのせると

視界は一気に真っ暗になった。




はぁ…

と、もう一度小さなため息をつく。



「どうしよう…。」


もう、今日中に契約を済まさないと

ほんとに入学できなくなっちゃうよ…。


つぶやいたそのことばは

風にさらわれていった。