でも…
もうそれは叶わぬ夢となって淡く砕け散っていて…
「キラ。」
あーぁ。
柚くんの幻聴まで聞こえるなんてあたしは本当に重症だなぁ。
自分の弱さをバカにするように
あたしは自嘲気味に
ふっと笑うと
涙を堪えて唇を噛みしめた。
そのとき、
「綺羅。」
鮮明に耳に届いたその声とともに
あたしは肩を掴まれた。
驚いて顔を上げると
「柚…くん…?」
額に汗を浮かべた柚くんの姿があった。
「綺羅。ごめん。」
柚くんのその言葉にあたしは無理矢理
笑顔をつくる。
「謝らないでよ。」
そういって笑ってにこっと見せる。
うまく笑えてるかはわからない。
もしかしたら引きつっているかもしれない。

