「ごめんなさい。…………柚先輩。」 唇を噛み締めて通り過ぎようとしたその時 「キラ…。」 ……え。 振り返ると柚くんの切なげに伏せた瞳がこちらを捉えていた。 なんで… なんでそんな目するの…? 「綺羅。」 今度ははっきりとその声が響いた。 やわらかな風が髪をゆらす。 「柚…くん……。」 柚くんの手が優しくあたしの髪にふれる。 そのまま手は首の後ろにすべりこみ 顔を引き寄せられた。 ドクンドクン と胸が波打つ。 久しぶりの感覚にあたしはそっと目を伏せた。