違う!柚くんに会いに来たんだよ…!





喉で詰まったその言葉は

柚くんがあたしを覚えていない現実を


深くあたしに感じさせた。







「ごめん…なさい……」


やっとの思いでそういうと

あたしは柚くんの病室を出た。







「綺羅ちゃん…。ごめんね。」



外には顔を伏せた柚くんのお母さんがいて、





「柚は……………家族以外の人のことを忘れちゃったみたいなの。」





逃げられない。


決定的な言葉をあたしに放った。