「柚くん…?来たよ。」
起こさないようにそっと呼びかけたつもりだったがちゃんと聞こえたようで
柚くんは
ぱちり、と目を開けた。
「柚くん…!よかった…」
そう言って抱きつこうと手を伸ばしたあたしを
「…誰?」
冷たい声が遮った。
「え………?」
「誰。」
今度ははっきりと聞こえたその言葉に
あたしはゆるゆると手を下ろす。
「神無月綺羅……です。」
あたしがそう言っても、
アイツの表情は冷たいまま変わらなくて
「部屋、間違ってんじゃね。」
睨みつけるようにそう言った。
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