「綺羅ちゃん…?」
名前を呼ばれて振り返ると
柚くんのお母さんが少し俯いて立っていた。
「あのね…。柚は少しがんばりすぎてたみたいなの。
でもね、綺羅ちゃんのせいじゃないのよ。
だから………どんな柚でも、受け止めてあげてくれる…?」
どんな柚でも………?
柚くんは、大丈夫なの…?
あたしのその言葉は喉に詰まって出てこなかった。
「大丈夫…です…」
あたしは自分に言い聞かせるようにそう答えると
ガラリ、と扉を開けた。
………いた。
柚くんは白い部屋の中
真っ白なベッドですやすやと眠っていた。
どこも変わった様子はなくて
よかった…とほっとする。

