……違う。 バカはあたしだ。 ずっと柚くんを 柚くんだけを見ていたはずなのに…… 少しふらついた足元に 不自然な笑顔。 うっすらと隠されたクマ。 今思えばサインなんていっぱいあったのに…… 付き合えたことに デートできることに 浮かれて あたしはなにを見ていたんだろう? 「綺羅ちゃん…帰ろ?」 気づけば時計は7時を指していて こくん、と頷くと あたしは胸にもやもやを残したまま家に帰った。