アイツは自分のネクタイから何かを外し
あたしのリボンにつけると
「綺羅。俺と結婚を前提に付き合え。」
そう言って顔をそむけた。
胸元を見ると、
白いサテンリボンに蒼い鳥のネクタイピンが
きらきらと輝いていた。
アイツらしい俺様な命令口調と
いつもは見ない照れたような顔がミスマッチで
「ふふっ…」
あたしは思わず笑ってしまった。
それに、アイツが少し不満げに顔をしかめる。
「よろしくお願いします、柚先輩。」
そう言ってペコリと下げたあたしの頭を
アイツは無理やり持ち上げた。
「俺は“先輩”じゃ、ないだろ?」
そんな不機嫌な言葉とともに奪われたキスは
切なくて甘い涙の味がした。
幸せの“蒼い鳥”はあたしにも幸せを運んできてくれた…-

