あの時、アイツと契約した桜の木を見上げる。
桜がふわっと舞って
あたしは思わず目を細めた。
ーあの日も、こんな日だった。
『どうしよう…。』
体育座りをした足に
抱え込むようにして頭をのせていたあたしに
『俺とする?』
アイツはそんなことを言ってきた。
あの時のあたしは
アイツなんか大っ嫌いで
『しないわよ。アンタなんかとは。』
なんて可愛げのないことを言った。
でも…
『ふーん。いいんだー。オマエ、本気で入学できねぇぞ?どーせ、誰にも申し込まれてねぇんだろ?』
桜火学院へ入りたい一心で
『…わかったわよ。
あたし、アンタと契約する。』
そう言ったんだっけ……

