そして、明夫くんは私を見ると


「ミカも、初めてまだ一ヶ月もたって
ないのにナカナカ上達が早くて
お兄ちゃんビックリだよ。
アイリちゃんは良い先生みたいだね。
ただし、正面素振り以外は禁止だ。
背中が気にならない程度に
速く、正確に。
ミカは5日間かけて3000本。
正面打ちだけ徹底的に。
無理は絶対にしたらダメだよ?
意味が無くなる。いい?」


えっ?


アイリは数時間で3000本なのに対して
私は5日間で3000本??


しかも、正面打ちだけって…


大丈夫なのかな…?
間に合う??


すると明夫くんはニコッといつもの
超絶にかっこいい笑顔で笑うと
私の頭を撫でて
(素振りなので面をつけていない)


「大丈夫!!お兄ちゃんの言うことを
信じなさい。3週間後には
ミカも自分の身くらい自分で守れる
ようになるよ(笑)
ただし、無理は絶対しない。
無理をして、また痛みを我慢するくらいなら、ぶっつけ本番のがまだいい。
竹刀を振るのは腕の力じゃないんだよ?
上半身、特に背筋が必要なんだ。
言ってる意味わかるよね?
大丈夫だから、騙されたと思って
やってみなさい(笑)」


わかったわ、明夫くん。


いや、明夫先生!!


こんなに強い先生が言うんだから
間違いあるわけないもんね!


明夫くんの言葉に
さっきまでの疑念もすっかり晴れた
私は力強く返事した。


「はい!!」


「よし、ミカ!頑張って来い!」


「ミカちゃん、こっちに来なさい。
ミカちゃんの素振りは私が見よう」


と言って、アイリのお祖父さんが
声をかけてくれたので
私はその声にも力強く


「はい、よろしくお願いします。先生」


と言うと、アイリのお祖父さんの
所に向かった。


「さて、礼二。次はお前の番だ。
俺は男には厳しいぞ(笑)
アイリちゃんは2時間たらずで
3000本終わらせてくるぞ?
それまで俺が徹底的に相手になろう。
さぁ、礼二かかって来なさい(笑)」



明夫くんは普段あまりしない
健夫くんみたいな笑い方で
ニヤッとすると面を装着した。


レイジは他の人と既に面なしで
乱取りをしていて
次々に色んな人を倒しまくっていた。


それに応えるように
乱取りしてた相手に一瞬で一本取ると
礼をしてニヤッと笑うと


「さぁ、お遊びの時間は終わりだ。
明夫君、お手合わせ願います(笑)」


と言って面を装着した。



その2人のやり取りに
女の剣道家だけでなく、男の人達まで
赤くなって見惚れてた(笑)


2人はバケモノの異名を持つ
くらいの超絶イケメンだからね!



あっ、でもアイリは2人に背を向けて
黙々と練習してるよ(笑)
もちろん、私もね(笑)