「倫子さんも起きたし、食べようか?」
「うん。高山くんって料理も得意で、本当にパーフェクトね」
なんか私、こんなときに限って遅くまで寝ているなんて。
最悪。
まぁ、今更シュウも幻滅なんてしないよね。
「いただきまーす」
三人でご飯を食べ終わると、帰り支度をとっくに済ませていた千里とは逆に、忙しく用意をする。
その間、楽しそうに話すふたりを横目に、寝坊したことを酷く後悔した。
「倫子さん、支度終わった?」
「うん」
「じゃあ送るよ」
少しくらいゆっくり話したかったのに……。
仕方なく三人でタクシーに乗り込み、駅迄行くと、心にポッカリ穴が空いたみたいに寂しくなった。
それに千里……。
駅に着き、改札の近くまで行くと千里が言った。
「じゃあ、又なにかあったら電話するから、そのときは相談に乗ってね」
「うん」
えっ……?
電話って?
シュウが千里に教えたの?
私はショックで、喋る気力を失った。
「倫子さん、気を付けてね。帰ったら電話して」
「うん!シュウも気を付けて帰ってね」
私はすぐに立ち直って、笑顔でシュウに手を振り、改札を抜ける。



