私と彼女と彼等


......

「じゃーねっ、稚咲っ。また、お昼にね~。」


「うん、じゃ、また後でー!」

ヒラヒラと自分達の教室の前で美咲に手をふる。


「おはよー。」

「おはよっ!紫藤さんっ。」

いつも通り皆に挨拶をするといち早くくるみから挨拶を返された。

......紫藤さんだって。

なんか、堅苦しいなぁ。

「おはよ、くるみ。あのさぁ、紫藤さんって堅苦しいから稚咲って呼んでくれない?」

折角仲良くなれたと思ったのになんか寂しいじゃん。

「そっか、そうだな。分かった。でも、稚咲じゃ個性がないよなぁ。皆と被るし。」

え、個性なんていらないんだけど..。



「うーん。じゃ、ちさきま「じゃ、ちぃで!!それなら誰からも呼ばれてないし!!」えー、分かった。」



あっぶねぇぇぇぇぇぇ!!!

くるみってヒーローとか武士が好きって昨日言ってたわ。

あのままだったら、ちさきマンとかちさき丸とかになってたよ、絶対。

阻止できて良かった。

ナイス、私。

「おーい、ちぃー?戻ってこーい。」

なんて、ぼんやり思っているとくるみに肩を軽く叩かれた。

ヤバいヤバい。

「ごめんごめん、軽く稚咲ワールドにとんでた。」


「稚咲ワールドだって?俺もいれてくれよ~。」

おぉ、啓だ。

さっきまで、そこで同じバスケ部の何とか君と話してたのにいつの間に来たんだ。

ちょっとからかってみるか。

どんなリアクションか見たいし。

「......啓、残念ながら稚咲ワールドは全国の稚咲しか入れないの。だから、無理だわ。」

ま、いくら啓でも冗談だって分かるよね。

「......そうなのか。俺も入りたかった......。」
 
本気でしょぼんとしているように見える啓。

ま、冗談だろうけど。

「そうなの......。ごめんね。」

啓のテンションに合わせてテンションを低くしてみる。

「......いいんだよ。じゃーな。」

そのテンションのままどっかに行く啓。

「啓~っ!!放課後、サッカーしねぇ?」

「わりぃ......。鈴木。そういう気分じゃねぇんだ。」


何とか君は鈴木くんと言うのか。

よし、覚えたぞ。

てか、バスケ部サボる気まんまんなんだね。

今日って確かバスケ部の活動があったはず。

サッカーなんてしてる暇ないだろう。


「いーのか、ちぃ。どっか行っちゃったぞー。白鳥。」

くるみに肩をつつかれる。

「いーでしょ。冗談だろうし。」

「そっか、なら、いーか。」

なんてくるみと談笑する。

「おーい。紫藤ー。啓が稚咲ワールドがどうとかいって本気でへこんでたんだけど......。」


......まさか、啓には冗談が通じて無かったのか?

「え、で、啓はどこに......?」

「なんか、俺は俺の王国つくるとかいってどこか行っちゃったぞー。」