「そうなんですか。」
「まぁ、舞台向きの容姿じゃなかったのは自分でも知ってたから早々に諦めはついたよ。
アニメならなんにでもなれるし、顔はそんなに出ないしさ。学校も行きながら仕事してたんだ。楽しかったよ」
ー金は無かったけど、友達はできて楽しかったな。
まぁ20代のうちはちょい役しか貰えなかったけど、勉強になったことは沢山あったから。
直昭さんも同じことを言っていた。
立花くんはきっと直昭さんの考えてる事が分かる、
羨ましいな。
ぼうっとする…夢の中にいる気がする
立花くんと母を見ていたあの時に戻った気がする。
母はいないのに。
誰もいないのに、
頬に手が添えられた気がした、
冷たい。
誰の手?
ぼんやりしていてわからない。
唇に何か触れた気がする。
それは何回も唇に触れた。ついには私の舌を割って中に入ってきた。彼だ。
気持ちいい。
止めないで
「………んんっ………ん………、っっ………んん」
座席にから床に寝かされた。舌が絡みあう。
止められない止まらない。
止めないといけないのにーー
彼の手が私の背中に回る。
冷たい
だめ。
何が?
ぼんやりする。彼を受け止めなければいけない。
でも受け止めるべきは私じゃない。

