ハナミツ




「俺も?」




「はい。あ、お仕事があったら無理はしなくて大丈夫です、…ただ、その、……結希さんといるときの直昭さんは家族の直昭さんだから。…なんか見ていたいんです。」



嘘じゃない、あの時の直昭さんはやんちゃな男の子みたいで見ていて可愛いと思う


「………、」




「あ、無理にとは…」


「いく。」



直昭さんは止まった赤信号でこちらを見た。
目が潤んでるように見える。




「……すきだよ」

他に言いたいことは沢山あるけど、絞り出して言った直昭さんの言葉に俯いた。



何を言えるんだろう。信号は変わる。
直昭さんはサイドブレーキを引き、アクセルを踏む。



「……ありがとう、直昭さん」

小さく言ったから聞こえたかはわからない。
でもふっと直昭さんの息遣いがした。