「はい、終わりました。」 「ありがとう。」 直昭さんはドライヤーを片したままの体勢で止まってしまった。 どうしたのかな。 あ、そ、そうか、 そういう雰囲気にしないといけないのかな。 「直昭さん...」 ドライヤーを床に置き、直昭さんは 立ち上がり私の方に来た。 「...もう、いい?」 「......。」 何を言われたかはわかった。 目が申し訳なさそうな、でも期待しているような目だったから。 「......もう、大丈夫。」 うなづいたら、彼はうんと、うなづき返し 私の手を握った。