「ありがとうございます。直昭さん」 「いやいや。」 直昭さんとは、 近くの人目につかない公園で待ち合わせた。 「行こうか、忘れ物ない、大丈夫?」 「…はい。直昭さん、ふふ、なんか、 やっぱりお母さんみたいですね。」 「……。」 「あ、すみません…なんか、やっぱり、」 「今日は送らないから。ごめんね。」 直昭さんはこちらを見て、微笑んだあと 前を向いた。 エンジンがかかる音が遠くから聴こえた気がした。