「……。」 「……怖いですか?俺が。」 綾瀬さんの手は私から離れた。 「…あ、その………。」 目を開けたら綾瀬さんは、背中を向けていた。 海風に綾瀬さんの髪がなびく。 「……俺だけが焦ってるみたいですね。」 「違います、……私は、」 こわくてたまらないの。 求めたらあなたは、手を離してどこかに 行ってしまう。 私が最初から居なかったみたいに。 あなたはきっと………。 「……」