「あ、綾瀬さん…、」 綾瀬さんは、私の手を引っ張り女の人とは 反対方向に歩き出した。 「………っ、痛いです」 「あ。すみません……つい、」 綾瀬さんは、ぱっと手を離した。 気まずそうに私を見た。 「……綾瀬さん。あの、さっきの人は、」 「……元彼です。すみません……、藤ノ宮さんがいたのに。」 映画館のあるショッピングモールを出て、 ドライブがてら海まで走った。 綾瀬さんは、運転しているときもあんまり話さなかった。 「……」