待ち合わせ時間は早まり11時過ぎに綾瀬さんは
近くのコンビニに来てくれた。
綾瀬さんは、ぼうっと車に寄りかかり
スマホをいじっていた。
今日は帽子もマスクもない。
ジーンズにたぶん長袖シャツ、寒いのか上から黒のカーディガンを羽織っていた。
ふわふわと髪の毛が揺れているのが
ひよこみたいに見えるのは、本人は気付いてないだろう。
「……綾瀬さん」
「あ、藤ノ宮さん。こんにちは、……」
「こんにちは。迎えに来てくれてありがとうございます。お待たせしました。」
綾瀬さんはスマホから顔をあげた。
「……こちらこそ。急かすみたいにすみません。えと、乗ってください。」
綾瀬さんはカチャと助手席のドアを開けて
くれた。
「はい。」
私が乗ったのを確認すると、綾瀬さんも運転席に乗った。

