「長く生きてると、口に出さずとも雰囲気で 相手の求めていることが分かるようになってくるんです。 あなたは私に何か、聞きたいことがあるような感じがしたので。声をかけてしまいました。 不快な想いをさせたなら、謝罪致します。」 丁寧で、何か独特な雰囲気の人だ。 物腰は柔らかく穏やかな初老の紳士。 「………少しだけお聞きしたい事があります。藤ノ宮さんのことです。」 「はい。なんなりと。」 彼は執事の様に丁寧に礼をした。 まるで俺が彼の主人のような扱い方だった。 〈綾瀬目線おわり〉