サァ……とまた風が桜を舞いあげる音がした。
綾瀬さんの手が私の手をつかんだ。
目を開けて綾瀬さんを見る。
「……捕まえました。何かずっと考えてたでしょう。」
「え、」
「…まさか、この期に及んで俺の邪魔になるんじゃないかとか考えてたんですか。」
「や、それは、常に考えていて……私は、綾瀬さんの、………」
「……綾瀬さんの?」
「………、」
「言わないと……襲っちゃいますよ。」
「え、………!」
少し口角を上げて笑った綾瀬さんは、ちょっと
意地悪な男の子みたいだ。
「…わ、わたし…綾瀬さんの近くにいていいのか、
分かんないんです。離れたらいいのか、近くにいていいのか。分からないんです。」
そう自信がない。
綾瀬さんは、私のどこを気に入ってくれたのか、

