「イツキ!!」 嬉しそうな声音を隠さずに大きな声を出して、“ある人”を呼ぶ“彼女”にみんなの視線がいく。 「あゆな、そんなに急がなくても大丈夫だから」 そんな彼女に、彼は小さく笑いながら注意する。 「だって、久々の放課後デートだよ? 楽しみじゃないわけないじゃん!!」 そんな彼の注意を軽く流して、彼の手をきゅっと握る彼女は、この学校で噂の男嫌いの先輩だ。 そしてその男の先輩も女嫌いとの噂だ。 二人してワケありなのだ。