幼なじみ

コンコン


部屋に響くノックの音


「…はい。」



返事を返すと入ってきたのは凪沙の母親だった



私は驚くこともなく
無表情のまま

凪沙の葬儀から
私の感情も表情消えてしまった


「こんにちは。」


そっと微笑む凪沙の母親


ゆっくりと私の前に座った

「今日はね…渡したいものがあってきたの…。

凪沙のものなんだけど。」


そう言って差し出されたのは半分潰れた
黒い染みのついた

小さな箱



「こ…れは?」


「凪沙がね…事故にあった日に持っていたものなのよ。
あの子、事故現場で必死にこれを握って守っていたんだって…。」


そっと
私の手に乗る


この黒い染みは…凪沙の血?


汚れてボロボロになった小さなリボンが箱を飾り付ける


「開けてみて?」


凪沙の母親に促されて私は箱を開けた