そして、「それ」は屋上の一番端に姿を表した。 たった三階建ての病院だ。たとえ屋上でも、顔まではっきりと見えてしまう。 着ている浴衣は、私が死後処置の時に着せてあげたものだった。 「それ」は、ゆっくりと、本当にゆっくりと、夜空を見上げ………。 ニィィっと、壁で肉の削れた顔で、満足げに笑ったのだ…………。 天の川は、その美しい姿で、見上げるものをただ無慈悲に、見返すだけであった……………。 (fin) `