「長瀬さん今どこに居ますか」


矢継ぎ早に長瀬さんへと語りかける。


「………え?今、屋上に着いたトコよ?

それがどうかしたの?」


頭が、何か硬いもので殴られたかのように痛みはじめる。


「おお願いです屋じ上から離れれて下さいいおお願いします」


声が、どうしようもなく震える。


「何で?屋上に何かあるの?」


電話の向こうで、屋上への扉が開く音が聞こえた。


心臓の鼓動が、痛いくらいに跳ね上がっていた。


「おね、がい、します、おく、じょ、いっちゃ、だ、め」


息が、出来ない……。


「あはは、駄目よぉ。もう着いちゃったから。」


…………グシャッ。


鈍い音が電話から聞こえた。


私には、それが、長瀬さんがあまりの恐怖に立ったまま気を失い、頭をコンクリートの床に打ちつけた音に思えて仕方なかった。


……やがて、電話の向こうから………、





グググ

ベチャッ

ギギギギギ



ゴゴッ

グリグギギ

グググググ




あまりに形容し難い音が、遠くから近づいてくる…………。






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