「…いると思った?」 「や、それは…まぁ」 かっこいいし。何でもできるし。 「まぁ確かに、大学生の時に一回付き合ったけどね」 「…っ、」 「でも、すぐ別れたよ。やっぱ桜じゃないとダメだった」 あまりにも真っ直ぐ見つめられて、目を逸らすことなんてできなかった。 「この意味、わかる?」 なんで切なそうな声でそんなことを言うの? なんでそんなに辛そうな顔をしているの? 「俺、まだ桜が好きだよ」 車のエンジン音も、周りの音も、彼の声以外の音全てが消えた瞬間だった。