「主任!ありがとうございました!」 深々と礼をした。 彼は「いーえ」と全然苦じゃなかったと言うように笑ってくれる。 「じゃ、帰ろうか?」 「はい。……あっ!」 そこまで言われて、初めて終電がないことに気がついた。 「どうかした?」 突然大声を出したことに驚いたのか、少し目を見開いて私を見る。 「終電…乗り過ごしました」 5分前が最後だった。 「なんだ、そんなこと」 「え?」 どうしようかと悩む私に、彼はポツリそんなことを言った。