梓さんの目から
次から次へと流れる涙。


「でもね…その時から凌は自分の
夢の話しをしなくなったの。
いつも通り優しくて私の事を
大切にしてくれて…。
いっぱい愛してくれた…。
でも…ふとした瞬間の凌の顔見て
わかったの。
この人はまだ夢を追い掛けてる
って…私がその夢を追い掛けたい
凌を止めてるんだって…。
だからね…私.言ったの…ずっと
待ってるから…必ず私の所に
帰って来てね…行ってらっしゃい
ってね…。」


シェフと梓さんに
そんな事があったなんて…。


「ほんとに3年かかっちやったけど
凌はちゃんと私の所に帰って来て
くれた。(笑)
とってもいい顔してね…。また惚れ直しちやった♪」


そう言った梓さんは
とっても綺麗だった。


「じゃ…隼人も…?
イタリアに行ってみたい
って…。」


「私もあの子の今の気持ちは
わからないわ…。
でもあの子の小さい時の夢は
父みたいな料理人になる事
だったの…。
それに圭吾が帰って来てあの子
考え事してる事が多くなったって
母が心配してたから…。」