「もう、無理。寒い…」

震えそう。

今は2月。

寒すぎる。

私は福岡育ちで雪なんかあまり見ずに育った。

小学四年のとき引っ越してきたけど

九州育ちの究極の冷え症には

ここの寒さには耐えられない。

今もブランケットを2枚膝にかけて

1枚肩にかけてくるまっている。

「ねー有紗そんなに寒い?」

「寒いよ!」

そう言って友達の莉愛が笑う。

莉愛にはわからないだろう。

だって莉愛は北海道から引っ越して来たから寒さには慣れている。

「莉愛、こいつまじで冷え症なんだよ」

そう言ってほら、カイロって

カイロを渡してくれる流羽

莉愛と流羽は高校からの友達で

いつも3人一緒。

「莉愛?有紗の手触ってみ?」

流羽がニヤリと言う

「うわっ!つめたっ!!」

「莉愛の手あったかーい♪」

ぎゅーっと握る

「ちょ、ちょいやめて!
それされたら寒い!!」

「あったかーい」

そうやってわいわいしてると

肩のあたりが急に寒くなった

肩をみるとブランケットがない

「あれ?ブランケットどこ?」

「ブランケットどこ?じゃありません!」

「うわ!」

後ろには今から始まる授業、

音楽の先生。

その手には私の肩にかかっていたはずの

ブランケット。

「先生ブランケットかえしてー」

「このブランケットは没収します。」

「え!?え、ちょっと待って、
それないと私凍死する!」

「ブランケットは肩にかけていたら預かり指導と担任の先生に言われてるでしょ!」

「あ…」

そういえばそうだった。

この学校はブランケットを膝にかけるのはいいけど

肩に掛けたり腰に巻くのは指導の対称。

それが先生に見つかったら

1週間の預かり指導で1週間没収。

1週間…

考えただけで恐ろしい…

「先生、お願い返して!」

「いけません。」

「先生、有紗は超冷え症なんだよ!?」

莉愛が説得しても先生は…

「校則で決まってます!」

聞く耳を貸してくれない。

あぁ…もう諦めるしかないかな…