戻ると流羽とココアくんが話していた
「あ、おかえり」
「ただいま」
もう既に次のバンドが歌っていて
流羽に耳元で話しかけられてやっと聞き取れるくらいだった
ココアくんにチケットのお礼言いたいな
なんて思ってココアくんをみると
目があった
ん?という表情を私に向ける。
(きゅん)
え…
私今きゅんとした?
自分の戸惑いを無理矢理消して
彼に近づくと
私が話したいと気付いたのか
耳をこちらに向けてくれる
「あみゅちゃむです!」
今歌っていてるバンドは
ガヤガヤしたバンドだから
大きめの声で話す
すると彼は私に顔を向け
あぁ!という顔をして
にこっとわらい軽く会釈する
そんな仕草でさえ
なぜか見とれてしまいそうになる。
私が口を開こうとすると
また耳を向けてくれる
「チケット代、ありがとうございました!」
そういってペコリとお辞儀すると
彼は手を顔の前でふる
口の動き適に
いいよ、いいよとしてくれてるんだろう
すると横にいた流羽が私の肩を叩く
流羽の方をみると
さっきの雑貨屋さんの袋を指差して
なにか言おうとしている。
私が耳を向けると
「それ、渡さなくていいの?」
といった。
「あ、渡す!!」
つまなぬものですが、って渡しな!
と流羽に言われ
ココアくんの方をもう一度向くと
また耳を向けてくれる
「あの、これつまらぬものですが…」
「え!いいの?」
「あ、はい!」
「ありがとー!」
にこっと笑う彼に一瞬また見とれそうになる。
どうしたんだろう私
男の人は苦手で
目を合わすことなんてできないのに
ココアくんから目が反らせない

