「もう迎えの者が着いたようですわ。結莉様」
「ん。ありがと」
美紅に返事をしながら走るスピードを上げる。
もう、倉庫は目の前。
「よし、開けるよ?」
重たい鉄で出来た倉庫の扉を開け―――「待って結莉」
―――ようとしたら柚木の静止の声。
「...何?柚木」
早く倉庫から出たいのに。
いつもは私の行動を止めることなんてないのに...。
今この状況に限って、なんで?
柚木に不満の視線が合うと柚木が笑う。
「ごめんね?結莉。―――邪魔者が、居るみたいだからさ」
そう言って柚木は再び倉庫の扉に視線を戻し、
「美紅、結莉のことよろしく」
「はいですわお兄様」
美紅に私を預けた。
それが、どういう意味なのか。
決して鈍くはない、むしろ鋭い私はすぐに理解した。


