心の中で嘲笑いながら、ただひたすらに出口を目指す。
「美紅、柚木、脱出したらどこに行くの?」
まさか、このまま走りっぱなしってことはないだろうし。
走って逃げるのを提案したのは私なんだけどね。
「わたくしは何にも聞いておりませんが…。お兄様、どこに向かうんですの?」
「僕の家」
柚木が携帯をいじりながら答える。
柚木の家?
「あら、わたくしたちの実家ですの?結莉様が来るのは久しぶりですわね!」
「そうだね」
そっか。双子だから家は同じか。
…当たり前の事だけど。
双子の家に行くのは、何ヶ月ぶりだろう。
何でか知らないけど双子の両親に気に入られてるんだよね、私。
双子の両親はいい人だし、双子の家なら安全だろうし…。
なるほど。妥当ってわけね。


