「久しぶり、結莉。大丈夫だった?」
私を抱き締めたまま喋るのは、飛龍の幹部、柚木。
なんでここに、と思いつつ柚木の体をそっと手で押し返す。
ゆうり、結莉…
それは、私の名前。
聞きなれた私の名前を、柚木が何度も何度も呼ぶ。
「結莉、結莉結莉結莉―――…」
「うるさい。」
キッパリと切り離す言葉を言い放つ。
ああ、今やっと理解した。
「柚木……アンタでしょ。コイツ、」
倒れている飛龍の総長―――玖山を指で差しながら言う。
「玖山を殴ったのは、柚木でしょ?」
私がそう言うと、柚木は一瞬キョトンとした顔をした後、すぐに笑顔に変えた。


