なんで私の目の前で―――玖山が倒れているのか。
「大地ぃ!」
小西は私の元から抜け出し、玖山の元へ駆け寄る。
……ん?
私、玖山に殴られかけたんだよね。
でも私の体にどこも痛みはなくて。
代わりに、玖山が倒れてる。
どういうことか、頭の中でいろんな事がぐるぐると周り始めたとき。
「”結莉”!」
ぎゅうっ、と”誰か”に物凄い力で抱き締められた。
「え、」
その”誰か”が、ゆっくりと顔を上げる。
あ。
たった一言、言葉が漏れる。
「”柚木”…?」
私がその名前を呼ぶと、ぱあぁっと効果音がつきそうな程笑顔になった。


