無言の私に腹が立ったのか、玖山が―――殴りかかって来た。 スローモーションのように見える玖山の拳。段々と私の顔に近づいてくるのが分かる。 あ。ダメだこれ。 対応が間に合わない。 避けきれない。 そう、瞼を閉じた瞬間だった。 ―――ドカッ 「………っ」 嫌な音が、やけに耳に響いた。 あれ?全然痛くない。 そっと、重い瞼を開ける。 「きゃあっ」 小西が、女子特有の甲高い声を出した。 なに? 頭がついていかない。