「じゃあ私帰るから!」
アイツがカバンを持った所で俺は
「待ってよ」
アイツを引き止めた。
「今、食べていい?」
「うん・・・いいよ」
俺は小袋を開けて、アイツが作ったチョコケーキを食べた。
視線をずらしつつ俺の食べるところを見るアイツ。
自分の作ったケーキの味が気になるのかな。
「美味しいよ綾音」
大正社のチョコと醤油の味。でも美味い。
「ほんと?美味しい?よかった」
緊張が解れたように微笑むアイツ。ものすごく可愛い。
俺はケーキを食べ終わって、綾音に話しかけた。
「俺、来週には受験終わってるからさ。あと1週間待っててよ」
「先週も言ってたけど、何を待てばいいの?」
「俺も、綾音が好きかもしれないから、その」
そこまで言うと急激に恥ずかしさが込み上げてきた。
「じゃあ、私達は好きかもしれないカップルだね」
「うそ!やっぱり好き」
「あっ、はっ、はい」
綾音はいきなりかしこまった返事をする。
「じゃあ1週間待つよ。好きだもん」
アイツはそう言って、照れくさそうに微笑んだ。
バレンタインデーの放課後。
俺は幸せな気分で満ち溢れた気がした。
今日から俺とアイツは両想いになった。