『漠賊』
広大な砂漠が産んだ異分子。対価も払わずに人々から理由も無く全てを奪う野蛮人の集まり。

統治機関が少ないこの世界では、漠賊に対する手段は無いに等しい。



「大丈夫だ。漠賊なんか、俺が全部追い払ってやる。」


「へへっ(≧▽≦)
アール兄ちゃ~ん!」


頬を擦り寄せ、プニプニした感触が伝わる。




─ドサッ!


「っ!?」


突然後ろから、サソリのわき腹辺りから、何かが倒れる音がした。


振り返ると、ボロボロのマントを羽織った人間が倒れていた。


「おい!大丈夫か!?」

ソラを降ろし、すぐさま駆け寄って行った。


「う…、み、みず…」


衰弱し、伸ばす手も震えていた。


「……お、女の子?」


膝に抱え、フードが取れたその中には、水色の長い髪に純白の肌、マントを着ていても分かるふくよかな体型。

男と判断できる材料はなかった。


「と、とにかく、水を…」

その整った顔立ちに見惚れていたアールは、ハッとし、すぐに腰の水筒に手をかけた。


液体を通さない布で作られた水筒、水が満タンに入ってる時の感触は、女の子のアレに似ている。


「ほら、水だ。飲め…」


口に入れ、ゆっくりと注いだ。女の子は最初の一口を飲むと、生き返ったように水筒に手をかけ、無心で飲み干していった。