見てはいけない気がした俺はそっと柱にもたれかかった 「ごめんなさい…」 そう申し訳なさそうに答えた声は 「…松野みゆ?!」 松野みゆだった。 「なんでダメなのっ?」 春多は押し続ける。 たぶん今ごろ頬を膨らませて拗ねているのだろう。 「えっと…ダメっていうか…」 しどろもどろになっていく松野みゆの声。 「好きな人…いるの?」 その言葉に俺の体がびくんっとはねた。 「…いないよ?」