【完】純粋子猫の甘い初恋





秋本の瞳は覚悟を決めたように深く澄んでいて

私には反論なんてできなかった。




「でも…っ!」


「それよりさ。




野岬が涙拭けよ。」



私の声を遮った言葉に驚いて
私は目元に手をやった。




そこには確かに淡く冷たい感触があって


「…っ。」


私は深く唇を噛み締めた。




「…別に、無理しなくてもいいんじゃねぇの?」



暖かい声が背後から聞こえて

私は振り向いた。



そこには


「陰山?」



さっき出ていったはずの陰山が立っていた。



「もっと自分の事も大事にしろよ。
…りぃちゃん?」



「…っ。」