始業式が終わり、HRが始まった。


「ねぇ!」


隣からこそっと呼ばれた。


「…なに?」


先生の目を盗んで返した。


「ガリ勉のこと…唯斗って呼ぶから!」


…はぁ?


「なんでだよ!」


ガリ勉じゃなくなってうれしいけど、下の名前を呼び捨てとは…なんとなく雪哉に申し訳ない。


「だってガリ勉じゃないみたいだし…水島って言ったら雪哉くんもだろ?」


「雪哉のこと水島って呼んでないんなら、別に俺のこと下の名前で呼ばなくてもいいだろ…!」


必死に抵抗する俺。


「別にいいじゃん!呼ばせてくれたってさ…!」


「嫌って言ってるだろ!」


少しずつヒートアップしていき、声が大きくなっていく。


「水島!小谷!俺の話を聞け!!」


先生に怒られてしまった…。


「「す…すいません…。」」


何熱くなってんだろ…。


「ねぇ…!」


怒られても話しかけてくる。


学習能力ねぇのか…?


「…なに?」


ちょっと不機嫌気味に言う。


「あたしが唯斗って呼びたいの…!」


小谷さんは今までに見せたことない表情…照れながら言った。