「お前、自分の誕生日まで忘れていたのか?バ――」
途中でいきなり、後ろから永璃が幟呉の口を塞いだ。
「ああっ!ハイハイ。余計なこと言わなくて良いのよ~幟呉ちゃん!」
「なっ永璃?何で?……今日お店休業なんじゃ?」
まだ、パニックになっている私に、近くにいた矢崎さんがそっと耳打ちした。ちなみに矢崎さんは黒髪のストレートがよく似合う、育ちの良さそうな美人だ。
「あのね、立花さん。幟呉さん達が立花さんの誕生日会をやりたいんだけど、って私に相談しに来て、店長がちょうど立ち聞きしてて、こういうのが良いんじゃないかって話になったの。ほら、ウチの店長ってこういうの好きじゃない?だから。」
「そうだったんだ……。そういえば、矢崎さんは靭と一回会ったことがあるんだよね。」
「うん。ねえ、立花さん、私のことは菊之(きくの)って呼んで!」
「うん。じゃ、私のことも圭子って呼んで!」
そう言うと、幟呉達の方を見てみた。
「靭!お前ちゃんと「お姫様!エスコートしに来ました!」って言ってあれ、したのか?」
「言ったし、やったよ!あれ超恥ずかしかったんだからなぁ!」
「しょうがねえだろ?お前ジャンケンで負けたんだから。でも本当にやるとは思わなかったぜ。」
「なっ!?テメ!」
「ぷっ」
「あ!幟呉今笑っただろぉ!?」
「いや、笑ってない。」
「笑ったよ!絶対!」
「アハハハ!おい幟呉、ちゃんと笑わなきゃ損だぞ。」
「何に損すんのさ!?」
「まあ、しょうがないよな、お前はタラシっつても本当に自然にタラシこむもんなぁ、普段考えずにハズい言葉サラッと言ってんだから、考えて言ったら、そりゃハズいだろーよ。」
「永璃、今の何気にバカにしてない?つか俺はタラシじゃねえ!」
「ハイハイ。してねーしてねえ。」
「顔が笑ってるけどぉ!?」
そんな三人を見ながら、私は靭と菊之ちゃんが会った時の事を思い出していた。
靭と矢崎さ、いや菊之ちゃんが会ったのは十一日くらい前……あれは、確か……。



