もしも私がーcasket in cremtion。

「なら、何で働いてた?何で生きてた?」

「うるさい!……私だって何度も死のうと思った!でも出来なかった。早く、殺すならさっさと殺してよ!!」
 
 もう辛い。
 もう人が殺される場面を延々と見続けるのは嫌だ。
 もう、私が人を殺すのを見続けるのは嫌だ。
 確かに、実感はないけれど、私は確かに、化け物なのだ。
 私は確かに人を殺したのだ。

「ごめんだな。」

 突き放すような声に顔を上げて幟呉を見る。

「え?……何よ、殺すために追って来てたんでしょ?」

「自分で死ぬのが怖くて、だけど俺達に殺されるのも怖くて逃げてきたんだろ?それで、捕まった途端、俺達に死を押し付けるのか。そんな奴を殺しても何の面白みも無い。最後まで足掻いてみたらどうだ?」

「何よそれ?ふざけんな!人の命を何だと思ってんの!?」

「なあ、嬢ちゃん、俺がこんな事言うのはどうかとも思うけど、その――」

 言いずらそうに言う永璃の言葉を靭は「あのさ」と遮って不良座りで頬杖つきながら、冷たく言い放った。

「また逃げんの?」

 それからため息をついて、面倒くさそうに続ける。

「僕らが見つけてもいつも逃げてばっかだったよねぇ、ちょっとは立ち向かってきたら?そんな根性もないんだねぇ。」

「なっ何ですって!?」

「だから、根性も無いんだねって言ったんだよ。」

「根性くらいあるわ!」

「じゃあ、ここから出れたら僕らと戦えるの?」

「……戦えるわよ!」

「じゃあ、約束ね。大丈夫、一人で相手するからさ。」

「望む所よっ!」

 私が息巻いて答えると、靭は立ち上がって

「幟呉!」

「ああ。」

 幟呉が靭から合図を受け取って、動いた。
 木刀が入っているみたいな袋を腰から取り出して、中身を出した。
 
 それは刀だった。