「ねえ、あんた達って何なの?」
「は?何なのって?」
靭が怪訝な顔をして聞く。
「だって、見た目は普通の男の子っぽいのに。ああ!服装は別としてね。何であんな仕事してるのかなぁって。」
「今、何気に失礼なの入ってなかったか?」
そう言いながら幟呉の顔が引きつった。
「ああ、入ってたけど。多分俺じゃないっしょ!」
永璃が笑って答えると
「失礼だなあ!幟呉は着物似合うじゃん!腰の刀だってカッコよさ気だし!永璃だったら絶対ヤクザだよ~!」
靭は、なってるかなってないかは別として、フォローした。
「いや、俺は刀が」
「おい、それは俺で決まりって事になってるのか?」
冷たい視線を送る幟呉に二人は苦笑していた。
(何か上手くはぐらかされたような気がするんだけど。)
暫く沈黙が流れる。
私の半年前に起こった過去を私は、思い出していた。
最近よく夢を見る。私が殺したであろう人達の夢だ。
確かに私は化物になる。だけど私は自らの意思で殺したんだという自覚がどうしても出来ないでいる。
責任逃れに聞こえるかもしれない、だからあんな夢を見るのかも知れない。だけど私は殺した時の感覚や感情はまるで覚えていないんだ。
唯一覚えているのは、エリスの時だけ。
あの時の、あの思いは忘れたくても忘れられない。
あの時、エリスが私をこんなにしたんだって、私は分かっていた。だから、憎しみにまかせて私はエリスを殴り飛ばした。爪があんなになってるって事も忘れて……。
私をこんなにしたあの薬はいったい何なんだろう?
「ねえ」
おもむろに口を開いて
「ココを出たら、私を殺すの?」
当然の答えが返ってくる質問をする。
「ああ」
案の定、当然の答えが幟呉から返ってきた。
「そう……。ねえ、U・H*@01って何?」
三人は私の顔を見た後、二人は幟呉を見た。
幟呉はゆっくりと口を開き
「なぜ?」と聞いた。
「だって、ココを出たら私を殺すんでしょう?私だって、自分をこんなにした薬の正体くらい知りたいもん。また、冥土の土産に話してよ。」
そう、少しおどけて、少し嫌味も入れて悪態ついて言うと、幟呉は少しため息をこぼして話し始めた。



