今日はこないかな、と思ったら来た。
やっぱり今日も来た。
金色の髪の毛。背の高い龍也君。
が教室の前で待っている。
ただそこに立っているだけで、相変わらず見物されまくりだ。
「ほら、来たぞ」
「はい、今行きます!」
私はちょこちょこと彼の後ろについて歩く。
すると龍也君はこちらに振り返り、面白そうに唇をあげた。
「なんかひよこみたいだな、お前」
「えっ? どうしてですか」
「来いっていったら素直についてくるところが」
そしてあ、そうだ、と納得したみたいに手を打ち鳴らす。
「だからひななんだ。鳥のひな!」
だから私はひなじゃなくて、はるななんですけど。
とはいえ、彼にひなって呼ばれるのは嫌じゃない。
不思議だと思った。
昨日より、怖いと思う気持ちがなくなっている。
それに、彼の無邪気な笑顔は素直にいいなぁと思えた。
明るくって、一直線で、嘘がない感じ。
「ひな」
「はい」
「今日も一緒に帰るぞ」
「はい」
と返事をしてから、今日は断る予定だったのを思い出した。
「あ、いえ」
「ん?」
「今日は勉強して帰るので、先に帰ってください」
すると疑わしそうな目つきでじっとりと私を睨む。
「お前まさか、俺から逃げようとしてるんじゃないだろうな?」