2年が歌を歌うから、答辞の冒頭を少し変更して、何とか担任が準備した原稿に移って余裕を持てた時、俺は見た。

綾華が寝てたのを。



「お陰で平和だった」



そんな世の中、順調な筈がないだろ。



「何で起こしてくれなかったのぉ゛ー……ッ……!!」



琉稀はまだまだ甘いな。

綾華が泣かない筈がない。

嘘泣きまで得意なほど、涙は友達の綾華だ。

今日は“見てなくてごめんねぇ”って、泣き叫ぶな。