私が歩くと彼女もその後ろを一歩開けて歩いた。
そうして付いたのは屋上。
ここは私と教員しか鍵を持っていない。
ーガチャー
「どうぞ?」
そう言ってドアを開けると、彼女は小さく
「ありがと。」
と言った。
彼女の声を聞くのは初めてだ。
「あなた、いじめられるの辛くなかったの??」
「…別に。
だって、マキちゃんが私を助けてくれるってわかってたから。」
彼女は普通に喋る音量で顔を上げてそう言った。
地味子だから、ブスなのかと思っていたけど、ブスでもなかった。
どちらかと言えば可愛い。
「…それ…どういう意味?」
「いずれ分かるよ。
…ね?
それより、私達友達だよね?」
人はそう聞かれると必然的に
「うん。」
と、答えてしますのが当たり前。
今の場合は、さっきの変な発言と、松崎マキとしての肩書きがそう言わした。
「だよね、じゃあ今日一緒に帰ろ?」
「うん。わかった。」
「じゃあ、教室帰ろ?
そろそろ昼休み終わっちゃう。」
彼女はいつも教室では一言も喋らないのに今はすごくはっきりと嬉しそうに話す。
そんな彼女に、私は
「うん。」
と、だけ返した。