「……山南さんがここを出た後、どうやって連絡を取るおつもりですか?」



山南は死んだことになるのだから、堂々と会いに行くわけにもいかない



ひっそりと、確実に回りにバレないようにすべきだ



「私の居場所は、近藤さんと土方君、それから湊上君にしか教えないつもりです

伝令役は山崎君が上手くやってくれるでしょう」



「……私にも?」



近藤や土方は当たり前だし、他の幹部は単純過ぎて、教えるのに気が引けるのはなんとなくわかる



山崎は裏で動く専門であるから、その役目はピッタリと言っていいだろう



「君と連絡を取れなくては意味がありません

長州の中に頭のいい人物がいる
それを探り、長州の考えてることを新撰組に伝える

それが私のこれからの仕事です」



そう、華蓮が史実で知る以外に、想定外の事態が起こっているのは事実だ



裏でそれを仕切っている人物が誰なのか



それを知ることは今後に大きく繋がる




「はい……私も全力を尽くします」



「ところで、屯所を離れる上で、一つお願いしなくてはならないことがあります」



「……なんでしょう?」



山南からこんなことを言い出すなど、めったにない



「伊東さんのことです
彼が新撰組に与える影響は大きいでしょう

ただ、私はいなくなりますから、こちらに直接手は貸せません
なんとか乗り切って下さい」



「……最後まで新撰組の心配なんですね」



近藤や土方はあからさまに新撰組を大事に思っているのがわかるが、その点、山南は少し冷静な気がしていた



だが、それは見かけだけで、本当は皆と同じくらいここが好きで、守りたいのだ



「全力を尽くします
必ず、山南さんが戻ってこれるように」



今の華蓮に言えることはこれだけだ



「無理はしないで下さいね」




最後にお互いニコリと笑うと、華蓮ほ山南の部屋を出た